先日、出張時のフライトの中でJALの7月号の機内誌を見ました。その中で、『小さな会社の人を育てる 人事評価制度のつくり方』の著者でもある日本人事経営研究室(株)の代表取締役の記事が掲載されていました。その会社の調査では、「Z世代の約6割が『今の会社でキャリアに不安を感じている』と回答しています」とのことでした。「これに対して、経営者・人事担当者の6割以上が『成長支援やキャリア形成に十分な策を講じている』と答えています」とありました。今の会社でキャリアに不安を感じているZ世代と、成長支援やキャリア形成に十分な策を講じていると考えている経営者・人事担当者の割合がほぼ同数であるが少し上回るという数字は、とても印象的でした。
多くの会社でZ世代のキャリアに対する不安を理解しており、策を打ってはいますが、Z世代の側では十分ではないと感じ、もっと成長を目指せる会社とマッチングすれば転職してしまうのだと思います。この原因は何なのか?を自分なりに考察してみたのですが、経営計画が達成されることを目的に人事評価制度を策定しているため、社員の『やる気』を外発的動機によりインセンティブをかけていくやり方にならざるを得ず、そこに原因があるのでは?と感じました。会社に所属している社員は様々な思いを持って仕事をしており、本当にやりたいこと(内発的動機)は別にあるのだけれども、会社が定めた評価基準(外発的動機)に合わせて頑張るしかないという気持ちもあって、このような象徴的な数字を生んでいるのかもしれないと感じました。というのも、外発的動機により社員のモチベーションを引き上げている場合は、外発的動機に敏感な人ほど他に魅力的な外発的動機を見いだせる会社があれば、惹きつけられてしまいます。一方で、社員のモチベーションが各自の内発的動機にまで届いていれば、今いる会社で踏ん張ることが自分自身の成長につながると感じるからです。子供の頃はみんな溌剌としています。そこには子供自身の内発的動機を妨げるものは少なく活気を持って生きていますが、社会的な制約と折り合いをつけることを学んでいくにつれ、自分の本当の思い(内発的動機)を見失っている結果、上司や周囲にも気づかれないまま、今いる会社の本当の魅力に気づく機会を失っているのかもしれません。
自分自身が外発的動機と内発的動機に着目して深く整理するようになったのは、JALの機内TV(2025年5月に視聴)でリクルートの人事統括室の蝦名秀俊さんがお話されている映像を見たことがきっかけです。以下は、Pivotに著作権のある映像ですが、この記事の投稿時点ではPivotに登録しなくても閲覧は可能でした。
https://pivotmedia.co.jp/app/movie/12174
その後、社労士法1条の中で『個人の尊厳』に言及する2025年6月の法改正があり、今につながっています。社員の内発的動機の引き出し方に正解は無いと思っていますが、それぞれの会社に在籍する社員がそれぞれにとっての正解を見つけていく旅のようなものかもしれません。弊事務所では、GX経営という切り口で社員の内発的動機を経営に活かす重要性について啓蒙を図っていますが、そこで伝えているポイントとなるメッセージは「1on1は全肯定で向き合うこと」です。特に、上司が部下に対して実施する1on1の時間だけは全肯定で向き合うことが求められると思います。例え、指導しなければならない局面であったとしても、肯定を重ねた結果により辿り着く指導でなければ、部下の内発的動機には届きません。経営計画から考えれば、『?』な意見であっても、部下から伝えられるメッセージは、最初に紹介した日本人事経営研究室(株)の調査結果から考えると、全肯定する価値のあるものだと思います。全肯定に加えて(対話のキャッチボールのような)質問話法も上手に活用することで、個々の社員の本音をどこまで引き出せているのか?に着目して実施することがとても重要です。リクルートでは1on1を『よもやま』と呼んでおり、管理職は『よもやま』を含めた人材育成に年間300時間ほどかけているらしく、その約7割が『よもやま』にかけられているそうです。そこまで時間をかけている会社はあまり無いとは思いますが、日本の会社で実施されている1on1が全肯定で実施されるようになれば、同じ調査結果も異なるものになっていくのかもしれません。みなさんの会社では、1on1をどのような切り口で進められていらっしゃるのでしょうか? この話にご興味をお持ちいただけましたら、HPのお問い合わせからご意見をお寄せいただけましたら幸いです。
ちなみに、上記でご紹介させていただいた、『図解 3ステップでできる! 小さな会社の人を育てる 人事評価制度のつくり方』は、書籍を以前、購入したことがあり、私も読者の一人です。この本と出会えたことも私にとって、貴重な体験になっています。